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2014年2月21日金曜日

ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』 (作田啓一訳、白水Uブックス)

今まで読んだルソーの本のなかではこれがいちばん好き。
共同体がなければ社会的な自由はないとか、権力はすべて人民に由来しており、政府は単に委託されているだけだとか、言われてみれば当たり前だけど、日本では必ずしも常識になっていないアイディアが満載である。一言で言えば、政府は自分たちが自分たちのために作るんだ、という意志だろうか。
 ルソーは日本ではいまだ未来の思想家なのだろう。「市民がいっそう人口を増し、ふえてゆくような政府こそ、間違いなく最良の政府である。」(127)なんてものいい。根本的に考えることの力を教えてくれる本である。