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2014年2月8日土曜日

堀部篤志『街を変える小さな店』(京阪神エルマガジン社)

僕が日本一好きな書店である、京都の恵文社一乗寺店の店長が書いた本。たまたま以前、恵文社一乗寺店に行ったとき、トキメキの量が半端ないのにただただ驚いた思い出がある。こんな本がある、古本もある、なんだか雑貨もある、出会いが嬉しいだけでなく、同じ本が違う文脈で複数の場所にあるのに驚いた。フロアの中央部に奇妙な感じでトイレがあるのにも驚いた。どうしてこんな書店ができあがったんだろう。それからすごく気になっていた。
そのあと作家の松田青子さんに会ったとき、 恵文社一乗寺店の店員だったことがあると聞いて棚をどうやって作っているのか訊いたことがある。店長は店員に棚をまかせて好きにさせてくれる、と教えてくれた。好きを全面に出しても許される雰囲気づくりが大事なのかな、と思った。
この本で堀部さんは、インターネットとかグローバリゼーションとかに対抗するあり方を模索している。お金をかけない、手作りに徹する、実際に会って顔を見ながら話す、自分の好きな気持ちに正直に商品を選ぶ。どれも流行とか効率とか大儲けとかとは無縁で、だから信頼できる。みんな同じことをやっていてもつまんないもんね。