ページ

2018年8月27日月曜日

『朝日新聞』でダニエル・ヘラー=ローゼン『エコラリアス』を書評しました

 『朝日新聞』2018年8月25日朝刊でダニエル・ヘラー=ローゼンの『エコラリアス』(関口涼子訳、みすず書房)を書評しました。
https://book.asahi.com/article/11768184
ヘラー=ローゼンは膨大な知識を駆使しながら、忘却の意義について語ります。ふつう忘れることはダメですが、むしろ忘れるからこそ、言葉も文化も変化し、人も生きていける、というのがその主張です。確かに、アンラーニングできるほうが人間、成長を続けられる、ということもありますよね。
僕が好きだったのはエリアス・カネッティのエピソードです。ラディーノ語とドイツ語を聞きながらブルガリアで育ち、なおかつ途中から母親に強制的にドイツ語を学ばされ、いつしかそれが母語になってしまう、というだけですごい。大変な人生ですね。
こうした作品を翻訳なさった関口さんの実力に圧倒されました。

2018年8月24日金曜日

連載エッセイ『街と小説』、ロサンゼルス編ブコウスキー『パルプ』をアップしました

立東舎のサイトで連載しているエッセイ『街と小説』、ロサンゼルス編のブコウスキー『パルプ』をアップしました。
http://rittorsha.jp/column/2018/08/3-3.html
罪のないおちゃらけのように見える本作ですが、実は人生や死への深い思索に支えられています。深刻な内容を軽く書く、というところにブコウスキーの作家としての凄みを感じます。

2018年8月23日木曜日

クレストブックス20周年記念冊子で僕の3冊を選びました

クレストブックス20周年記念冊子「海外文学のない人生なんて」で僕の3冊を選びました。
http://www.shinchosha.co.jp/crest/
僕が選んだのは、
ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』(岸本佐知子訳)
テジュ・コール『オープン・シティ』(小磯洋光訳)
セサル・アイラ『文学会議』(柳原孝敦訳)
です。

2018年8月21日火曜日

『中央公論』で松山巖さん、桜庭一樹さんと鼎談しました

『中央公論』2018年9月号で松山巖さん、桜庭一樹さんと鼎談をしました。
http://www.chuko.co.jp/chuokoron/newest_issue/index.html
タイトルは「読み継ぎたい戦争文学」で、僕は以下の5冊について話しました。

田中小実昌『ポロポロ』(河出文庫)
カート・ヴォネガット『スローターハウス5』(ハヤカワ文庫)
ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』(文春文庫)
J. D. サリンジャー『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる』(新潮社)
ヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

松山さんも桜庭さんも何でも知っていて、なおかつ人柄も良く、とても楽しく鼎談できました。松山さんとは10年前に『読売新聞』で書評委員として毎月お目にかかっていたこともあり、とても懐かしかったです。

2018年8月20日月曜日

『朝日新聞』で宇田智子『市場のことば、本の声』を書評しました

『朝日新聞』2018年9月18日朝刊で宇田智子『市場のことば、本の声』(晶文社)を書評しました。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13640385.html?iref=pc_ss_date
宇田さんの本は『那覇の市場で古本屋』(ボーダーインク)、『本屋になりたい』(ちくまプリマー新書)とすべて読んでいますが、どれもとても良いですね。とにかく文章が素晴らしい。先入観なく周囲を見て、それを伝わる文章で書ける人というのはなかなかいません。お奨めです。

2018年8月18日土曜日

『ほんのひとさじ』にエッセイを書きました

『ほんのひとさじ』vol.9 2018年7月15日号(書肆侃侃房)にエッセイを書きました。
http://www.kankanbou.com/index.php
特集は「窓」で、僕のエッセイのタイトルは「ペクト山に登る」です。

2018年8月17日金曜日

『漱石全集』第13巻の月報にエッセイを書きました

『定本 漱石全集』(岩波書店)第13巻の月報にエッセイを書きました。
https://www.iwanami.co.jp/news/n17359.html
タイトルは「漱石の強くて優しい声」です。この13巻に収録されている『英文学形式論』は講義録なのですが、外国人にとって英文学はどこがわかりにくいかを探る衝撃の内容になっています。どうわかるかではなく、どうわからないかについて漱石が考えたことの意義について考察してみました。

2018年8月16日木曜日

English Journalでワシントン大行進とお奨め文学・映画・音楽について書きました

English Journal 2018年9月号でワシントン大行進とお奨め文学・映画・音楽について書きました。
https://www.alc.co.jp/ej/
公民権運動の歴史をたどりました。とても勉強になりました。お奨めした作品は以下のとおりです。

コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(早川書房)
ジョン・ルイス他『MARCH』(岩波書店)
チャイルディッシュ・ガンビーノ"This is America"
ブルーノ・マーズ 24K Magic
バリー・ジェンキンズ『ムーンライト』
ラウル・ペック『私はあなたのニグロではない』

2018年8月15日水曜日

『文學界』で堀江敏幸さんにインタビューをしました

『文學界』2018年9月号で堀江敏幸さんにインタビューをしました。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/
堀江さんっていつ会っても素敵ですよね。今回は『雪沼とその周辺』『河岸忘日抄』『魔法の石板』という三冊を中心にお話しいただきました。こういう静かなユーモアを湛えた大人にいつかなりたいです。

2018年8月14日火曜日

映画『私はあなたのニグロではない』パンフに推薦文と推薦図書を載せました

2018年5月公開の映画『私はあなたのニグロではない』のパンフレットに推薦文と推薦図書を載せました。
http://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/
作家ジェイムズ・ボールドウィンと公民権運動の歴史を探った傑作ドキュメンタリーです。僕は『フレデリック・ダグラス自伝』を勧めました。

2018年8月13日月曜日

『英語教育』で温又柔さんと対談しています

『英語教育』2018年9月号で作家の温又柔さんと対談しています。
https://www.taishukan.co.jp/book/b373764.html
温さんとサンドラ・シスネロス『マンゴー通り、ときどきさよなら』(白水Uブックス)を読んだのですが、とても驚きました。彼女は日本語を使ってシスネロスの意志を継ごうとしていたのです。
新刊『空港時光』(河出書房新社)も話題ですし、9月には名著『台湾生まれ、日本語育ち』も白水Uブックスで復刊されるようですし、最近の温さんはますますノッていますね。

2018年8月12日日曜日

『すばる』で堀江敏幸『オールドレンズの神のもとで』を書評しました

『すばる』2018年8月号で堀江敏幸さんの『オールドレンズの神のもとで』を書評しました。
http://subaru.shueisha.co.jp/
タイトルは「樹木の力」です。堀江さんの静かで正確な文章には、なんとも言えない厚みがあります。本書に収録された短篇でも、その魅力は遺憾なく発揮されています。素晴らしい作品です。

2018年8月11日土曜日

『朝日新聞』でJ.M.クッツェー『モラルの話』を書評しました

『朝日新聞』2018年8月11日朝刊でJ.M.クッツェー『モラルの話』を書評しました。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13631454.html?iref=pc_ss_date
クッツェーの最新作には短く深い短篇が多数収録されています。その多くの主人公は『エリザベス・コステロ』『動物のいのち』などにも登場した、クッツェーの分身たる女性コステロです。コステロと彼女の子供たちとの議論には多くを考えさせられます。
書評では触れませんでしたが、この作品は今のところ、英語以外の言語でしか出ていないようです。英語さえ知っていれば世界のことがなんでもわかる、という英語中心主義への有効な批判にもなっていると思います。

『週刊新潮』で松尾スズキ『もう「はい」としか言えない』を書評しました

『週刊新潮』2018年8月2日号で松尾スズキの『もう「はい」としか言えない』を書評しました。ここで全文を読むことができます。
https://www.bookbang.jp/review/article/556610
松尾スズキの小説もエッセイも大好きです。本書もとても楽しかった。芥川賞は獲れませんでしたが、そんなことぶっ飛ばす面白さがあります。

2018年8月10日金曜日

『朝日新聞』でフィリップ・ロスの三冊について書きました

『朝日新聞』2018年7月28日朝刊でフィリップ・ロスの三冊について書きました。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13609858.html?iref=pc_ss_date
取り上げたのは『プロット・アゲンスト・アメリカ』、『父の遺産』、『素晴らしいアメリカ野球』です。
アメリカを代表する作家であるにもかかわらず、現在、新刊で手に入るロスの著作がほんの数冊という情況に驚きました。比較的手に入りやすい三冊を選びましたが、どれも傑作です。

2018年8月9日木曜日

『英語教育』でカート・ヴォネガット『スローターハウス5』について書きました

『英語教育』2018年8月号でカート・ヴォネガットの『スローターハウス5』について書きました。
https://www.taishukan.co.jp/book/b372509.html
戦争小説の名作として名高い本書ですが、読み返してみるとやっぱりいいですね。ユーモアがあって深刻で、とても深い。ヴォネガットの書き手としての力に圧倒されました。

2018年8月8日水曜日

『新潮』で柴崎友香『公園へ行かないか? 火曜日に』について書きました

『新潮』2018年9月号で柴崎友香さんの『公園へ行かないか? 火曜日に』について書きました。
http://www.shinchosha.co.jp/shincho/
タイトルは「検索の外へ」です。この作品は柴崎友香さんがアイオワ大学の作家向けワークショップに参加した経験をもとに書かれています。この本を読んでいて、自分のアメリカ留学時代を思い出しました。

2018年8月6日月曜日

朝日新聞で山崎佳代子『パンと野いちご』を書評しました

2018年7月21日の朝日新聞朝刊で山崎佳代子『パンと野いちご』を書評しました。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13597801.html?iref=pc_ss_date
ユーゴスラビア内戦のとき、クロアチア系やムスリムの難民については多くが語られましたが、セルビア系の難民についてはあまり報道がありませんでした。山崎は実際に元難民たちに会って、彼らの言葉を聞き書きしていきます。戦争のなか正気を保つために、日々料理を続けていたという記述に感銘を受けました。

2018年8月5日日曜日

連載エッセイ『街と小説』、ロサンゼルス編チャンドラー『大いなる眠り』をアップしました

立東舎のサイトで連載している連載エッセイ『街と小説』、ロサンゼルス編チャンドラー『大いなる眠り』をアップしました。
http://rittorsha.jp/column/2018/08/3-2.html
チャンドラーはやっぱり面白くて、どんどん読んでしまいます。主人公の探偵、フィリップ・マーロウの人生観が面白かったので、それについて書いてみました。

2018年8月4日土曜日

8月18日にB&Bで岸本佐知子さんとイベントをします

2018年8月18日にB&Bで岸本佐知子さんとイベントをします。
http://bookandbeer.com/event/20180818_a/
タイトルは「「第4回「境界から響く声たち」読書会――ジャネット・ウィンターソンを岸本佐知子さんと読む」で、ジャネット・ウィンターソンの『オレンジだけが果物じゃない』を題材に二人でお話しします。
開演は15時で、料金は前売り1500円、当日2000円、+それぞれ1ドリンクです。
ご興味があれば。

2018年8月1日水曜日

8月12日に神保町の東京堂で英語の勉強について講演します

2018年8月12日に神田神保町の東京堂で英語の勉強について講演します。
https://peatix.com/event/413550/view
時間は昼の12時半からで、入場料は500円です。
タイトルは「わからないから面白い―外国語との付き合い方」で、告知文は以下のとおりです。ちょっとユルめの感じで、自分が今までどう英語と付き合ってきたかについてしゃべろうかと思っています。

「外国語教育は、知らない世界に触れるための大事な教科です。でも文法・単語・会話力など、やらなきゃならないことだらけ。そんな義務感ばかりじゃやる気もおきませんよね。長年、外国文学の紹介や翻訳をしてきた僕が、自分はこんなふうに外国語を楽しんできた、というお話しをさせていただきます。
教師や生徒の頭の中にある「やるべき」を「やりたい」へ変えるにはどうしたらいいのか。さあ、一緒に考えてみましょう。」

この企画は連続講座の一部で、他にもいろんな著者の方が2日にわたってお話をなさるようです。
https://peatix.com/group/2043684/events
ご興味があれば、遊びに来てください。