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2018年8月27日月曜日

『朝日新聞』でダニエル・ヘラー=ローゼン『エコラリアス』を書評しました

 『朝日新聞』2018年8月25日朝刊でダニエル・ヘラー=ローゼンの『エコラリアス』(関口涼子訳、みすず書房)を書評しました。
https://book.asahi.com/article/11768184
ヘラー=ローゼンは膨大な知識を駆使しながら、忘却の意義について語ります。ふつう忘れることはダメですが、むしろ忘れるからこそ、言葉も文化も変化し、人も生きていける、というのがその主張です。確かに、アンラーニングできるほうが人間、成長を続けられる、ということもありますよね。
僕が好きだったのはエリアス・カネッティのエピソードです。ラディーノ語とドイツ語を聞きながらブルガリアで育ち、なおかつ途中から母親に強制的にドイツ語を学ばされ、いつしかそれが母語になってしまう、というだけですごい。大変な人生ですね。
こうした作品を翻訳なさった関口さんの実力に圧倒されました。