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2014年2月4日火曜日

江國香織『つめたいよるに』(新潮文庫)

8ページほどしかない超短篇が詰まった本。最初の「デューク」でもうノックアウトされた。犬が死に、悲しみに暮れて町をさまよう女性に男の子が声を掛けてくる。理由など訊かずとにかく一日付き合ってくれ、最後にキスをしたとき、その感触で彼が犬のデュークだったとわかる。ああ。一本ごとに感情が高まりすぎてなかなか読み終わらない。200ページしかないのに。実らぬ恋に少女が鳥に変わってしまう「桃子」も良かった。エイミー・ベンダーみたいな不思議な短篇が好きな人におすすめ。