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2014年4月2日水曜日

毎日新聞にドン・デリーロについて書きました

毎日新聞にドン・デリーロについて書きました。
難解だという印象が強いデリーロですが、読んでみればよく練られた文章と、現代日本に生きる我々にも説得力のあるアイディアに満ちています。死、環境汚染、メディアの作るイメージと現実とのずれなど、興味深いテーマを繊細な文章で彼は語り続けています。次にアメリカでノーベル賞を獲るのは彼なのでは、とまで言われる存在であるにもかかわらず、どうして日本ではいまだあまり受け入れられていないのか不思議でなりません。
今回はデリーロの作家としての出発点であるケネディ暗殺と、それを見事に作品化した『リブラ』(文藝春秋)について書きました。残念ながら絶版ですが。でも、デリーロ入門としては手頃な短篇集『天使エスメラルダ』(柴田元幸他訳、新潮社)も最近出ています。文庫では『ボディ・アーティスト』(ちくま文庫)もあります。ここらへんからデリーロの豊かな文学世界を体験していただければ嬉しいです。