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2014年1月19日日曜日

スピヴァク『ある学問の死』(上村忠男・鈴木聡訳、みすず書房)

スピヴァクが現代における文学研究のあり方について語っている本。ちゃんと外国語を学んで、じっくり時間をかけて、テクストに書いてあることを尊重しながら、他者に対する想像力を駆使して読むという地道な作業を続けること。そして決してわかったつもりにならないこと。こうしてまとめてしまえばあまりにも当たり前なことを、スピヴァクは本一冊を費やして延々と語る。
スピヴァクのこの作業が無意味ではないのは、僕らが短時間で、効率よく、情報をまとめて結果を出す、というイデオロギーにあまりに取り込まれてしまっているからだ。時間をかけてわからなさに向かい合うという気持ちがなくなったら、文学も人間関係もおしまいだよね。