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2014年1月27日月曜日

佐藤優『甦るロシア帝国』(文春文庫)

とにかくモスクワ大学で佐藤が教鞭を取っていたころ、どう学生と触れ合っていたかのところが素晴らしい。知的に持てるものすべてを真剣に差し出し、ときには過剰とも思えるほど彼らを支えてしまう。ロシアの将来のエリートを支えることは、対日感情を良くするという点で日本の国益にもなる、なんて言っているが、それだけではないことは教師をやったことがある者は誰でも知っている。目の前に伸びている人がいれば、単純に手を差し延べたくなるものだからだ。それはおそらく、その場所に命が湧き出ているのを感じるからだろう。
だからこそ、崩壊する経済の中、家族を支えるために金持ちの愛人になってしまう学生の場面は悲しい。でもそれで人生終わりじゃないんだよね。学ぶことはずっと続くんだから。