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2016年9月1日木曜日

『本の雑誌』5月号の新刊めったくたガイド書きました

『本の雑誌』2016年5月号の新刊めったくたガイド書きました。
http://www.webdoku.jp/
取り上げた本は以下のとおりです。

ジョイス・キャロル・オーツ『邪眼』栩木玲子訳、河出書房新社。
リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』奈倉有里訳、新潮社。
ワールポラ・ラーフラ『ブッダが説いたこと』今枝由郎訳、岩波文庫。

ノーベル文学賞候補とも言われているオーツですが、日本ではいま一つ読まれていないようです。この本では、いつまでも少年でいたがるナルシストの男に周囲の女性たちが振り回され、不幸になる状況が描かれています。成熟できない男性がいかに迷惑な存在かがよくわかります。
ウリツカヤの作品の主人公も変わった男性です。しかしながらどんな状況も楽しめる彼は、周りの人々を明るくしていく力を持っています。そして多くの女たちが彼のところに集まるのです。
ラーフラの本は優れた仏教入門になっています。自分を捨て、目の前のことに没頭して、他人に与えること。それをマインドフルとも呼べるでしょうが、こんなに昔にブッダは人生の答えを出してしまっています。自分探しの次のステップがよく分かる本です。