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2014年3月12日水曜日

スーザン・ソンタグ『反解釈』(ちくま学芸文庫)

ものすごく厳密に、ぐうの音も出ないほど対象を追い詰めていく作家や批評家が僕は大好きで、なぜだかそれは女性が多い気がする。たとえばマーガレット・アトウッドやジョイス・キャロル・オーツなど、人のずるさや自己弁護を呵責なく暴く作家たち、スーザン・ソンタグやハンナ・アレントなど、凄まじい鋭さで徹底的に悪を論じきる批評家たちで、読んでいると本当に気持ちがいい。男らしいという言葉はこういう人たちのためにあるのではないか。
ソンタグの『反解釈』は、「キャンプについてのノート」という論文がいい。現代における不自然の美学について論じたこの文章を読んでいると、アンディ・ウォーホルの映画の感じとかが甦ってくる。僕はこういうものが好きなんだな、と素直に思える。なまじっかなポストモダンの理論より、よっぽど現代の芸術のあり方をしっかりと掴んでいる。ジョージ・ソーンダーズやジェフリー・ユージェニディスなんかの現代アメリカ文学を読む上でもすごく役に立つのではないか。