挑戦し続けるのはいいことだ。でも体力には限界がある。体の使い方には法則がある。だから無理は続かない。そんなことも分からないで生きてきてしまうから、40代で突然辛くなる。ときには心も病む。
それが当たり前のことだと実感できないところに、日本の男性の生き方の問題がある。だって、誰も休み方とか、体を痛めない動き方とか教えてくれないからね。それで鬱になっても腰痛になっても文句は言えない。むしろ体の側からのこれ以上ないほどリアルな教育なのではないか。
対談であるこの本では、体の声を聞き、自分を超えたものへの敬虔さを持つことが生き延びるための筋道であることが繰り返し論じられている。貝原益軒『養生訓』でも『歎異抄』でもとっくに言われていることだけど、それでもまだ僕らは気づかない。
現代の資本主義は無限の拡大と蓄積を目指すけど、僕らは生き物だから、そんなこと続けられないんだよね。できるのは質的な向上と削ぎ落とすことだけだ。そうしたことについて考えさせてくれる本。