2017年9月27日の『日本経済新聞』でヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー』(早川書房)について書きました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21424390S7A920C1MY7000/
時代は70年代のベトナムで、北のスパイである主人公はどうしても南の人々に共感してしまい身動きが取れなくなります。そもそも、フランスとベトナムの混血である彼は、常に二つの間にいて、どちらも選ぶことができません。
ヴィエト・タン・ウェン先生は、僕が南カリフォルニア大学の大学院に留学していたときの指導教員です。15年経って、まさか先生が小説家としてピュリッツァー賞を獲るとは思いもよりませんでした。しかも日本語訳まで出るとは。二つの文化の間にいる、という点では、まさにこの本の主人公はウェン先生そのものだと思います。
日本でのプロモーションもあるといいなあ。