『週刊新潮』2017年6月22日号で金井美恵子の『カストロの尻』(新潮社)について書きました。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
金井美恵子の作品というと難しい印象がありますが、決してそんなことはありません。繊細な身体感覚や戦前の両親の記憶など、読者にとって、読む喜びに満ちた記述が続いていきます。普段の読書よりもじっくりと速度を落として読むことで、金井美恵子の文章をだんだんと味わえるようになるでしょう。
本作には、言語批判や社会批判など様々な要素が詰まっています。多様な読みを誘い込むテクストを織りなす彼女の力量は圧倒的です。