『文學界』2017年4月号で松浦寿輝『名誉と恍惚』について書きました。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/
この八百ページ近い大作で1930年代の上海が見事に蘇ります。それは同時に、現代の日本とは何かという問いかけでもあるでしょう。フランスを中心としたヨーロッパ研究の印象が強い松浦寿輝ですが、アジアについてもこんなに考えていたんだと気づかされる力作です。しかも読んでいてひたすら面白い。純文学好きも、ミステリー好きも、はてまた歴史好きも、全員が満足できる作品になっています。